第1章 計画の策定にあたって 1 計画策定の趣旨 近年、障害のある人の高齢化と障害の重度化が進む中で、障害福祉のニーズはますます複雑多様化しており、また、心身の機能に障害があること自体が問題なのではなく、障害があるために当たり前の生活ができなくなる社会のあり方が問題であるとする「社会モデル」など、障害に関する理解を深め、すべての人が、地域で安心して生活できるまちづくりが求められています。 国においては平成26年1月の障害者権利条約の批准とそれを契機とした国内法の整備・改正が行われ、また、令和4年9月には国際連合障害者の権利に関する委員会の総括所見における勧告を受け、障害者支援に関する制度や施策の考え方は近年大きく変化しています。 本市では、平成19年3月に「西宮市障害福祉推進計画」を策定し、「ともに生き ともに支えあう 共生のまち 西宮」を目指す将来像として取組を進めてきました。その後も、国の法改正の動向や本市における施策の課題等を踏まえて改めて計画策定を行い、目指す将来像の実現に向けた取組を続けてきました。 このたび、令和3年3月に策定しました「西宮市障害福祉推進計画(第6期西宮市障害福祉計画・第2期西宮市障害児福祉計画)」の計画期間が令和5年度をもって終了することから、新たに令和6年度を初年度とした「西宮市障害福祉推進計画(第7期西宮市障害福祉計画・第3期西宮市障害児福祉計画)」を策定し、本市の障害福祉施策を計画的に進めていきます。 近年の国の動向 平成24年10月 障害者虐待防止法 施行 平成25年4月 障害者総合支援法 施行(一部は平成26年4月施行) 障害者優先調達推進法 施行 平成25年6月 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律 施行(一部は平成28年4月又は平成30年4月施行) 平成26年1月 障害者権利条約 批准 平成26年4月 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律 施行 平成27年1月 難病の患者に対する医療等に関する法律 施行 平成28年4月 障害者差別解消法 施行 平成28年8月 発達障害者支援法の一部を改正する法律 施行 平成30年4月 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律 施行 平成30年6月 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律 施行 令和元年6月 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律 施行(一部は令和元年9月又は令和2年4月施行) 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律 施行 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律 施行 令和2年4月 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律 施行 令和3年5月 障害者差別解消法 改正(令和6年4月1日 施行) 令和3年9月 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律 施行 令和4年5月 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法 施行 令和4年9月 国際連合障害者の権利に関する委員会の総括所見における勧告 令和5年4月 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律 施行(一部は令和5年10月以降施行)   2 計画の位置づけ 本計画は、障害者基本法第11条第3項に基づく「市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画」(市町村障害者計画)として位置づけられるものであり、本市における障害福祉施策の基本的な理念と取組の指針を明らかにするものです。同時に本計画は、障害者総合支援法第88条に基づく「市町村障害福祉計画」としての「第7期西宮市障害福祉計画」、及び児童福祉法第33条の20に基づく「市町村障害児福祉計画」としての「第3期西宮市障害児福祉計画」として、障害のある人の地域生活を支援するためのサービス基盤整備等に係る令和8年度末における成果目標を設定するとともに、各種サービスの必要量を見込み、その提供体制を確保するための方策について定めています。 本計画はこれら3つの計画を一体的に策定したものとなっています。 なお、本計画の策定にあたっては、国の「障害者基本計画」や「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」、県の「ひょうご障害者福祉計画」を踏まえるとともに、本市の長期的なまちづくりの基本的方向と、施策や事業を総合的、体系的に示した「第5次西宮市総合計画」の部門別計画に位置づけています。また、計画の具体的な取組にかかわる事項については、「西宮市地域福祉計画」、「西宮市高齢者福祉計画・西宮市介護保険事業計画」、「西宮市子ども・子育て支援プラン」などの関連する計画との整合を図っています。さらに、本計画の基本施策のうち、「相談支援・権利擁護支援体制の充実」については、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」に基づく「西宮市成年後見制度利用促進基本計画」として位置づけるとともに、成年後見制度の利用促進を含めた権利擁護を推進する内容とします。 3 計画の期間 西宮市障害福祉推進計画の期間は令和6年度から令和11年度までの6年間ですが、このうち、「第7期西宮市障害福祉計画」及び「第3期西宮市障害児福祉計画」の期間は令和6年度から令和8年度の3年間です。 4 計画の策定体制 本計画の策定にあたっては、障害のある人等に対するアンケート調査や地域自立支援協議会での協議、障害福祉施策推進懇談会での意見交換を通じて、障害福祉施策への市民意識や障害のある人等の実態、各種サービスの利用状況や利用意向の把握を行いました。 また、関係機関・団体の代表、事業者、公募市民、学識経験者などからなる障害福祉推進計画策定委員会において計画内容の審議を行いました。 併せて、パブリックコメント(意見提出手続)を実施し、市民の意見を募集しました。 (1)アンケート調査の実施 障害福祉施策推進のための基礎資料とすることを目的に下記を対象とした調査を実施しました。 ①障害のある人等 障害のある人等の日頃の生活の様子、福祉サービス等のあり方に対する考えや利用意向を把握するため障害や難病のある市民を対象としたアンケート調査を実施しました。 対象 配布数 回収数 回答率 身体障害者手帳所持者 1,500 658 43.9% 療育手帳所持者 1,000 457 45.7% 精神障害者保健福祉手帳所持者 1,000 411 41.1% 障害のある児童(18歳未満の身体障害者手帳所持者又は療育手帳所持者) 1,000 443 44.3% 特定医療費(指定難病)受給者証所持者 500 235 47.0% 合計 5,000 2,203 44.1% ②企業 障害のある人の雇用状況や雇用意向、障害者雇用に関する制度の認知等を把握するために、市内企業を対象としたアンケート調査を実施しました。 対象 配布数 回収数 回答率 西宮市内の企業 500 130 26,0% ③障害福祉サービス提供事業所 障害福祉サービス事業所の運営状況や、今後の方針、課題、障害のある人を取り巻く環境等を把握するために、市内の事業所を対象としたアンケート調査を実施しました。 対象 配布数 回収数 回答率 西宮市内の障害福祉サービス提供事業所 453 218 48.1% ④障害者関係団体 障害のある人等の日頃の生活の様子、福祉サービス等のあり方に対する考え方や、西宮市における暮らし方等を把握するために、市内の障害者関係団体を対象としたアンケート調査を実施しました。 対象 配布数 回収数 回答率 西宮市内の障害者関係団体 9 7 77.8% (2)地域自立支援協議会における協議 「西宮市地域自立支援協議会」の各部会における協議や、障害福祉施策に関する市民・民間団体と行政との意見交換の場である「西宮市障害福祉施策推進懇談会」の開催を通じて、障害のある人の地域生活を支えるための課題を把握するとともに、計画策定に関する意見集約を行いました。 (3)障害福祉推進計画策定委員会による検討 関係機関・団体の代表、事業者、学識経験者などからなる「西宮市障害福祉推進計画策定委員会」を設置し、計画の進捗状況や課題等についての審議、アンケート調査の実施及び結果の分析を行います。 (4)パブリックコメントの実施 計画(素案)をホームページや支所等で公表し、広く市民の意見を募集しました。   5 計画とSDGsの関係 平成27年の「国連持続可能な開発サミット」において、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とその17の「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。SDGs(Sustainable Development Goals)では、経済・社会・環境の3つの側面のバランスがとれた持続可能な開発に際して、複数目標の統合的な解決を図ることが掲げられています。 本市では、第5次西宮市総合計画の各施策分野にSDGsの目指す17のゴールを関連付けることにより、SDGsの達成に向けた取組を一体的に推進しています。 本計画においては、特に以下に掲げるSDGsの6つの目標達成に寄与することが期待されています。 西宮市障害福祉推進計画とSDGsの関係 1 貧困をなくそう 3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに 8 働きがいも経済成長も 10 人や国の不平等をなくそう 17 パートナーシップで目標を達成しよう