第6章 計画の推進に向けて 1 計画の推進体制 (1)計画の進捗管理 計画の推進にあたっては、関係機関・団体の代表、事業者、公募市民、学識経験者などで構成する「障害福祉推進計画策定委員会」において、計画全体の実施状況の点検と進行管理を行います。 障害当事者やサービス事業者、保健・医療・福祉・就労・教育等の関係機関、行政等で構成された「地域自立支援協議会」においては、計画を踏まえた協議や、「障害福祉施策推進懇談会」の開催を通じ、幅広い意見の集約や課題の抽出を行い、その解決に向けた方策の検討をともに進めます。 行政においても、各分野の進捗状況を定期的に把握するとともに、関係各課の緊密な連携に努めます。 (2)障害のある人の参画 共生社会の実現にあたっては、障害のある人の意思決定の支援に配慮しつつ、その自己決定を尊重し、自立と社会参加の実現を図っていくことが不可欠です。本市における障害者支援の基本的な理念と方向性を定めた本計画の推進においても、障害のある人の参画を保障し、当事者の視点を計画の推進や進捗管理に反映することが求められます。 したがって本計画の推進にあたっては、障害のある人が参画する地域自立支援協議会や障害福祉施策推進懇談会での協議を尊重し、障害のある人のニーズを障害福祉施策に反映します。 また、障害福祉推進計画策定委員会の委員に、当事者団体、家族会等からの参画を得ることで、計画の策定及び評価過程に、多様な当事者の視点が反映されるような推進体制の確立に努めます。 (3)計画の評価と見直し より効果的・効率的な施策の推進と、社会状況の変化や障害のある人の現状に対応した施策の見直しを行うため、PDCAサイクルに基づく計画の評価と見直しを行います。西宮市、障害福祉推進計画策定委員会、地域自立支援協議会のそれぞれにおいて、成果目標や障害福祉サービスの実施状況等の進捗状況の評価を行い、目標設定や取組の見直しについて検討するものとします。また、数値的な評価だけではなく、計画の理念や、基本的な考え方についても議論していくものとし、制度や法令の新設・改正に合わせて、計画期間中にその内容を更新していく必要があれば、検討を行います。   2 計画の推進主体とその役割 本計画の推進、本計画が目指す将来像の実現に向けては、「西宮市障害を理由とする差別の解消及び誰もが暮らしやすいまちづくりの推進に関する条例(通称:西宮市障害者共生条例)」の施行を踏まえ、西宮市など行政のみによる各種施策の推進・充実に向けた取組だけでなく、市民や地域、サービス事業者、企業、医療関係者など、様々な主体がそれぞれの立場で果たすべき役割を考え、相互の連携を図りながら積極的かつ主体的な取組を行うことが望まれます。 そのため、それぞれの主体が担うべき機能、果たすべき役割を以下の通り示します。 (1)行政 ○ 障害のある人などの生活実態・施策ニーズの把握、地域自立支援協議会等における障害のある人に対する支援施策の計画的な立案及び推進を図ります。 ○ 共生社会の実現に向けた社会的障壁の除去や差別の解消及び障害に関する理解について、市民や企業等に対して啓発・情報提供を行い、同じ地域の中でともに支えあい、ともに活動する社会づくりに向けた環境づくりに取り組みます。 ○ 障害のある人を支える人材、地域福祉活動、ボランティア活動等の育成・支援を行います。 ○ 障害福祉サービスや地域生活支援事業などの福祉サービスに加え、保健・医療・就労・教育・都市整備など、障害のある人が安心して暮らせるまちづくりのために必要な関係機関等との連携の強化に取り組みます。 (2)市民・地域社会 ○ 社会的障壁の除去・軽減や合理的配慮の提供、差別の解消など、共生社会の実現に向けた理念や考え方に対する理解を主体的に深める取組が求められます。 ○ 障害のある人などの地域生活、就労・就学、多様な活動を通じた社会参加を当たり前のものとしてとらえ、必要な支援や協力を行うことや、それらを可能とする環境づくりが求められます。 ○ ボランティア活動や地域活動において、見守り・声かけなど、ふれあい・助けあい・支えあいによる地域福祉が活発に行われることが期待されます。 (3)サービス事業者 ○ 障害のある人の特性やニーズに応じたきめ細かで柔軟なサービスの提供が求められます。 ○ 障害のある人の権利や自己決定を尊重し、尊厳を守ることに十分に配慮したサービスの提供が求められます。 ○ 良質で障害の特性に配慮したサービスが提供されるよう、サービス提供従事者一人ひとりの資質の向上が期待されます。 ○ 利用者のニーズに応じた十分なサービス量が確保されるよう、サービス提供基盤の充実が期待されます。   (4)企業・事業者 ○ 障害者差別解消法が改正され、これまで努力義務であった「合理的配慮の提供」が事業者においても義務となります。事業主だけでなく、従業員等に対しても差別の解消や合理的配慮の提供等に関する理解を深めるための啓発・研修等の取組、障害のある人に配慮した職場施設・設備の整備が求められます。 ○ 障害のある人の特性・能力に応じた職種の開拓に努め、雇用機会の拡大を図るとともに、障害者雇用や合理的配慮に関する企業内の理解促進に取り組み、安定した障害者雇用の環境作りが求められます。 ○ ユニバーサルデザインの考え方など誰もが安心して利用できる良質な製品・サービスの提供が期待されます。 ○ 企業市民として、ボランティア活動など地域社会への貢献が期待されます。 (5)保健・医療関係機関 ○ 障害や障害の疑い、疾病を早期発見し、適切な療育・治療につなげるため、行政機関やサービス事業者等の関係機関との連携強化が求められます。 ○ 高齢化や重度化が進むなかで、障害のある人が地域で暮らし続けていくためには、障害特性等に配慮した医療の提供が求められます。