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市長コラム 令和7年(2025年)7月
中学校部活動の地域展開の意義と今後の展開について
【部活動地域展開を見据えて中学校全20校まわり】
市政において大きな課題となっている中学校部活動の地域展開について、現場の実情と空気を確認するため、およそ二カ月かけて、市内全20校を訪問しました。各校とも朝8時前に到着し、朝練や登校する生徒の様子を視察したのち、校長先生から概要と課題を聞き取りながら、校内を一巡して9時過ぎに視察を終える、というパターンでの訪問でしたが、文字通り20校20様、地域性や規模、歴史に加え、校長先生の個性もあわせて、それぞれの特徴、強み、課題を改めて認識することができました。
西宮市においては、国が示す方向性に沿い、原則として令和8年8月に現行の部活動(学校長の指揮管理下に置かれる学校教育の一環としての部活動)を終了し(引退時期などの観点から、各学校において一部の部活動では終了時期を柔軟に対応できるようにします)、新たに「プレみや」と総称する地域クラブ活動に移行する方針を示しています。あたりまえに存在してきた学校部活動は、今も学校現場の奮闘により概ね継続できてはいますが、一部で継続の困難さが顕在化しており、これらを持続可能なものとするため、子どもたちにとっても選択の幅を広げられるようにするため、そして学校教育活動自体の充実のためにも、学校長のもとで管理運営される部活動から、地域リソースを活用する地域展開へと舵を切ろうとしています。
これからおよそ一年後に地域展開が本格化していくことになりますが、遅くとも来年度の新入生への学校説明会が行われる年明けまでには、各地域においてどういうプレみやが展開されていくのか、新たにどういう選択肢があるのか、これまでの部活動はどうなるのか、等をしっかり示す必要があります。そのためには、これから秋にかけてが、とても大切な時期になります。以下、この部活動の地域展開に関して、現状認識と考え方、取り組みについて記したいと思います。
【部活動地域展開の受け皿をしっかり作る】
この部活動地域展開を進める上で、最も重要なことは、中学生が活動していく受け皿をしっかりと作ることです。決して、地域展開によって学校教育活動の部活動が廃止となったために、中学生が情熱をもって取り組んできた活動そのものができなくなるような状態にはしない、そこには地域の皆さんにもご理解とご協力をいただきながら、もちろん可能な範囲で教職員の協力も得て、受け皿を作り上げていきたいと考えています。
現在、本市では全20校でスポーツと文化系合わせて265種目の多様な部活動があります。100名を超えるマンモス部から、十数名の部や、限られた期間だけ活動する部もあり、概ねどの学校にもある種目から、ある学校特定の種目もあったりします。そうした部活動の受け皿となるのが、プレみやクラブです。
プレみやの一次募集(1~3月募集)では、182の活動(スポーツ138活動、文化44活動)が登録、これらには、バスケットボールのような部活動でも中心となる種目から、部活動にはない、ダンスなどの活動も含まれています。続く二次募集(5~6月募集)では、168の活動が申請され、審査を経てからの登録となりますが、ここまでに350の活動が申請されたことになります(最終調整後、7/末頃に公表予定)。
一方で、まだ地域偏在や種目によっては十分な受け皿が確保できていないこともあり、ここからのきめ細やかな取り組みが重要と考えています。市としては、地域展開後にどういう形でそれぞれの学校ないしエリアでの活動が可能かについての見通しを立てることが大切と考えており、目標は、各校において活動している個々の部活動の受け皿が示せることと、各種目において全市的にどういった地域クラブが存在していくかが俯瞰的に示せるようにしなくてはなりません。このタテ(各校の部活動)とヨコ(種目ごとの全市展開状況)の粒度を高めていくことが、これからの大きなミッションになります。
そのために、公益財団法人西宮市スポーツセンターを統括団体として、指導者や補助者となり得る方々に登録いただき、人材バンクを立ち上げることにします。また、教員などがプレみやクラブをスムーズに運営できるために、バックオフィス機能をサポートできる体制も作りたいと考えています。運営面まで手が回らないので、指導者はできない、と思われている方々が手を挙げやすい環境を作り、また十分な数の指導者が確保できない団体には、人材バンクからの紹介によってマッチングを行います。こうして、各地域におけるプレみやの拡充を後押しします。
また、学校のグラウンドや体育館、資器材も活用できるよう整理し、部活動と同様な環境で、多額のコストが不要となるような運営ができるためのサポートもして参ります。これまでに確保した学校施設の予約システムの導入に関する予算等に加え、今後は新たに必要な資器材の予算措置も検討しています。また、これまでの部活動は、中学校教員の無償労働によって支えられてきたとも言えますが、地域展開には相応のコスト負担が必要となります。そして、国も一定の予算措置をされる旨、示されていますが、市としても費用支援は必要と考えており、今後示される国の支援スキームなどを勘案しながら、考えをお示ししたいと思います。
【学校教育活動の充実で、中学校はバージョンアップする】
部活動の地域展開を進める理由の一つとして、教員の働き方改革が挙げられることは否定できない事実です。ただ、部活動を地域展開するのは、教員の超勤対策がメインなのではなく、学校教育活動そのものを充実させる、さらにはバージョンアップさせるための改革でなくてはなりません。
我が国において学校教育は、文部科学省が定める学習指導要領に沿って進められていきます。およそ10年単位でアップデートされる学習指導要領は、特に令和の時代に入ってから、世界の目まぐるしい動きに沿った改訂がされています。知識や技能の習得を前提としつつ、これまで以上に、不確定な状況に対応できるための思考力、判断力、表現力の習得が求められるようになっています。そうした目まぐるしい変化に、一番しっかりと対応してもらわなくてはならないのは、現場の教師です。デジタル技術を道具として駆使しながら、生徒の探究学習を演出するためには、これまで以上の研修や授業の準備、そして個々の生徒へのきめ細かい対応が求められています。そして、授業の習得に心配がある生徒、家庭環境から支えが必要な生徒に対しては、教師でなければ対応できない問題も多々あります。
また、全生徒が部活動に参加していない中では、昭和の時代では部活動によって培われてきた、生徒のリーダーシップやチームワーク、合意形成などの教科指導以外の、しかし人間生活に不可欠な素養を、学校教育活動の中で育成していくことが求められます。これまでも生徒会活動として図書委員やボランティア委員、体育大会実行委員などの委員会活動が各校で活発に行われていましたが、こうした学校教育活動の充実も、この機会にこそ図っていくべきと考えています。
要は、この部活動地域展開によって、学校教育活動そのものがバージョンアップする、よりよくなる中学校を目指していかねばなりません。
【現場の懸念点を丁寧に対応し進める】
部活動の地域展開を進めるにあたり、心配される大きな点は、部活動がこれまで果たしてきた意義がどう継承されるか、ということです。これまでは、部活動を通じて自主性や協調性、責任感、表現力、創造力などを育成し、互いに切磋琢磨する中で友情を深めるなどの経験を得てきました。この大切な点は、プレみやクラブにもその意義を共有し、子供たちの人間的な成長という観点も踏まえて指導を行うことを前提とします。プレみやの基本方針には、教育的意義を含めたスポーツ・文化芸術活動に期待される役割や意義を明示し、市や教育委員会、統括団体、学校代表、プレみやクラブ代表者などから構成される協議会において、子供の健全育成、人格形成という観点などについても話しあいながら、これまで部活動が担ってきた教育的意義が適切に継承されるよう取り組みます。また、学校は生徒がどのプレみやクラブに所属しているかを把握し、活動状況等の情報共有を通じて、一緒に生徒の成長を支えるような体制づくりを進めていきます。
プレみやへ活動の主体が移行した後も、学校での活動を希望するプレみやクラブが同様の環境で活動できるようにしたいと考えています。西宮市の各校でさかんな吹奏楽部がプレみやクラブとなった後も、学校と連携しながら、学校備品の楽器を使い、学校の音楽室等を使って、その学校を拠点として活動できるように整理します。また、これまでは吹奏楽部が卒業式など式典での演奏を担っていたようなものは、プレみやに移行した後も、可能な限りそうしたよき伝統が継続できる状況を学校と共に作っていきたいと思います。
この大きな転換にあたっては、市民の皆様のご理解のもと、関係者が同じ方向を向き、特に学校現場においては、これからの準備段階から過渡期において、全面的な協力をいただかなくては前に進めることはできません。現場の校長先生や教職員が日々注いでおられる生徒への愛情、部活動への思いも受け止めながら、一人でも多くの市民や団体の皆さんのサポートを得て、しっかりとこの地域展開を進めていきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いします。
〈各校訪問日〉
5月1日 上甲子園中学校
5月8日 甲陵中学校
5月13日 平木中学校
5月22日 塩瀬中学校
5月26日 鳴尾南中学校
5月27日 浜脇中学校
5月28日 高須中学校
5月29日 苦楽園中学校
6月5日 深津中学校
6月6日 今津中学校
6月10日 鳴尾中学校
6月11日 西宮浜義務教育学校
6月17日 山口中学校
6月19日 浜甲子園中学校
6月26日 瓦木中学校
6月27日 学文中学校
7日1日 真砂中学校
7月2日 大社中学校
7月8日 甲武中学校
7月10日 上ヶ原中学校
令和7年7月10日
市長コラムバックナンバー
- 令和7年(2025年)7月「中学校部活動の地域展開の意義と今後の展開について」
- 令和7年(2025年)6月「県市統合病院、2026年7月開院と決定!」
- 令和7年(2025年)4月「西宮市市制施行100周年記念式典開催、次の100年に向けた新たなスタートです!」
- 令和7年(2025年)2月「新年度に向けて意識する3つのこと」
- 令和7年(2025年)1月「震災30年あの日に思いを馳せ、前に進む」
- 令和6年(2024年)11月「文学をはぐくむまち、西宮!」
- 令和6年(2024年)10月「持続可能でより多くの市民がスポーツを楽しめる環境のために」
- 令和6年(2024年)9月「より具体的な災害の被害想定をしてみよう 」
- 令和6年(2024年)8月「甲子園球場100周年、西宮とともにこれからも」
- 令和6年(2024年)7月「夏祭り真っ盛り!みんなで参加しよう! 」
- 令和6年(2024年)6月「自治体同士の支えあいで有事に備える 」
- 令和6年(2024年)5月「西宮に鉄道が開通して150周年を迎えました 」
- 令和6年(2024年)4月「女性の「はたらこう!」をもっとサポートする西宮市へ 」
- 令和6年(2024年)3月「おかげさまで てくて句歳時記 20句目まで到達しました 」
- 令和6年(2024年)2月「財政構造改善に向けた一歩と未来を拓く予算を編成」
- 令和6年(2024年)1月「能登半島地震から一日も早い復興を願うとともに、改めて有事の備えを確認しよう」
- 令和5年(2023年)12月「データの積極活用を通じてより効率的な市政運営へ」
- 令和5年(2023年)11月「文教住宅都市宣言60周年、平和非核都市宣言40周年、環境学習都市宣言20周年記念式典を開催しました!」
- 令和5年(2023年)10月「よりよい市民とのコミュニケーションに向けて 市公式ホームページがリニューアルされました! 」
- 令和5年(2023年)9月「みんなで守る西宮の森 」
- 令和5年(2023年)8月「市民参画と協働のバージョンアップへ」
- 令和5年(2023年)7月「県市統合病院建設着工、2026年に地域の核となる「スマート・ホスピタル」が誕生します! 」
- 令和5年(2023年)6月「さらなるごみ減量に向け意識を高めて行きましょう! 」
- 令和5年(2023年)4月「報徳学園の大応援団が教えてくれた、団結のパワー 」
- 令和5年(2023年)3月「大相撲の春! 西宮から縁ある力士を応援しよう! 」
- 令和5年(2023年)2月「許しがたい特殊詐欺の撲滅に向けて自動通話録音機無償配付事業など対策を強化へ 」
- 令和5年(2023年)1月「2023年は市政にとって大きな節目の一年、頑張って参ります!」
- 令和4年(2022年)12月「部活動の地域移行をどう進めるか」
- 令和4年(2022年)11月「エコ」を文化に、ファッションに
- 令和4年(2022年)10月「西宮のホームチームをみんなで応援しよう!」
- 令和4年(2022年)9月「幼児教育・保育ビジョンに基づき、新たなステージへ 」
- 令和4年(2022年)8月「市政報告 広聴会を通じたコミュニケーション」
- 令和4年(2022年)7月「青春の舞台、西宮!」
- 令和4年(2022年)6月「リアルな会合ならではの温度感」
- 令和4年(2022年)5月「時代の変化を市政運営の進化につなげる 」
- 令和4年(2022年)4月「『市民が主役』の市政を実現するために」
- 令和4年(2022年)3月「ローマは一日にしてならず」
- 令和4年(2022年)2月「令和四年度予算案 「未来サポート型予算」を編成しました」
- 令和4年(2022年)1月「「前進」する一年に!」
- 令和3年(2021年)12月「学校を重層的に強化し、地域の要としての機能を果たす」
- 令和3年(2021年)11月「市有焼却施設の統合化へ 環境政策を前に進める」
- 令和3年(2021年)10月「リアルな日常を取り戻し、現場の声を市政に活かす」
- 令和3年(2021年)9月「阪急武庫川新駅実現に向け、大きく前進へ」
- 令和3年(2021年)8月「ヤングケアラーを市民と共に支えるために」
- 令和3年(2021年)7月「より安全な通学路を地域のみなさんと共につくる」
- 令和3年(2021年)6月「市民と共にさらなるごみ減量へ 指定袋デザイン決定!」
- 令和3年(2021年)5月「国道176号(名塩道路)生瀬工区 令和8年春開通へ」
- 令和3年(2021年)4月「パートナーシップ宣誓証明制度スタート 誰にとっても住みやすい西宮市へ」
- 令和3年(2021年)3月「新型コロナ初確認から丸一年」
- 令和3年(2021年)2月「ワクチン接種が滞りなく進むために」
- 令和3年(2021年)1月「『守り、育む』一年に」
- 令和2年(2020年)12月「西宮湯川記念賞贈呈式開催 湯川博士の背中から私たちが受け継ぐべきもの」
- 令和2年(2020年)11月「平和への思いを、市民と共に受け継いでいこう」
- 令和2年(2020年)10月「歩行者と自転車にとって安全で快適な西宮市を目指して」
- 令和2年(2020年)9月「市民により広く情報が伝わる市役所を目指して」
- 令和2年(2020年)8月「Withコロナ時代、レジリエントな社会を目指す」
- 令和2年(2020年)7月「西宮市が目指す教育分野における情報機器の活用について 」
- 令和2年(2020年)6月「「新しい生活様式」の日常へ」
- 令和2年(2020年)5月「「ポストコロナ」に向けて踏ん張る五月に」
- 令和2年(2020年)4月「新型コロナウイルス感染症対策 今こそ「人権文化の花咲くまち西宮」を!」
- 令和2年(2020年)3月「新型コロナウイルス 一刻も早い収束に向けて一致協力を」
- 令和2年(2020年)2月「自治体間連携の時代」
- 令和2年(2020年)1月17日「教訓を受け継ぎ未来へ」
- 令和2年(2020年)1月「スポーツを通じて健康づくりの一年に」
- 令和元年(2019年)12月 「職員と共に、闊達、活発な組織を目指し、市役所の信頼回復に努めて参ります」
- 令和元年(2019年)11月 「受け継がれている「People to People(人と人のつながり)」」
- 令和元年(2019年)10月 「環境問題に対する私たち大人の責務」
- 令和元年(2019年)9月 「「不登校」にみんなで向き合い、温かく支えよう」
- 令和元年(2019年)8月 「夏休みに考えたい 子供たちとインターネットの関係について」
- 令和元年(2019年)7月 「受動喫煙対策の第一歩」
- 令和元年(2019年)6月 「防災の備え 今一度確認を」
- 令和元年(2019年)5月 「「お気に入り」の西宮を再発見しよう!」
- 平成31年(2019年)4月 「市民の力で、まちをもっとよくしよう!」
市長動画バックナンバー
- 「ワクチン接種」に関する市民へのメッセージ(令和3年5月25日)
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- 感染の爆発が懸念される状況に 一層の感染拡大防止策をお願いします!(令和2年12月15日)
- (動画)市長からのメッセージ『密を避け、日々の行動の記録を』(令和2年11月17日)
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