石井市長の"てくて句歳時記"
更新日:2025年8月10日
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てくて句歳時記
令和7年8月
満池谷町にあるニテコ池は、江戸時代の絵図でも確認できる池で、平成19年度まで越水浄水場の貯水池として利用されていました。背後に甲山を望み、春になると、ニテコ池周辺は鮮やかに咲く桜で彩られます。
このニテコ池は、野坂昭如さんの小説「火垂るの墓」の舞台として知られています。戦禍により家も親も失った14歳と4歳のきょうだいは、食料も十分にない中、池のほとりの防空壕で暮らし、懸命に生き抜こうとします。何の罪もない子供たちに、あまりに辛くふびんな思いをさせてしまう、戦争の悲惨さを本質的に問う作品です。私もこの夏、久しぶりに映画を見ましたが、改めてその切なさに、強く心を打たれました。
5年前には、ニテコ池に隣接する震災記念碑公園に、「火垂るの墓」の記念碑が有志により建立されました。今では、各地からニテコ池や記念碑を訪ねられているようで、この地が人々に平和の大切さを訴えているように感じます。
今年で終戦から80年となります。戦争が二度と繰り返されないよう、また、世界の戦禍が一刻も早く収束するよう、心から願うものです。
※現在、市の調査ではニテコ池でのホタルの生息は確認されていません
≪写真≫「火垂るの墓」の舞台となったニテコ池
バックナンバー
- 令和7年7月(夕焼けや 勤め新たに 赤胴車)
- 令和7年6月(白龍や 武庫大橋に 雲の峰)
- 令和7年5月(足裏に 泥がにゅるりと 初田植え)
- 令和7年4月(見据えしは 次の百年 宮の春)
- 令和7年3月(人々の のぞみはこびて 桜舞う)
- 令和7年2月(甑岩 鎮座の杜の 藪椿)
- 令和6年12月(ふゆあかり 三十年を 支え合い)
- 令和6年11月(市をつなぐ 橋上駅や 天高し)
- 令和6年10月(行列は 万葉衣装 秋まつり)
- 令和6年9月(睡蓮や 甲陽園の 大池に)
- 令和6年8月(歓声や 山ふところの 水遊び)
- 令和6年7月(鳴尾なる 一本松へ 南風)
- 令和6年6月(花卯木 かむさるように 百間樋)
- 令和6年5月(青蛙 はぐくみ継ぎて 学び舎に)
- 令和6年4月(晴れ渡る 廣田の山に つつじ咲く)
- 令和6年3月(若鮎や 生瀬トンネル 開通す)
- 令和6年2月(雪解風 きづなつむぎて 復興へ)
- 令和5年12月(北おろし まちと人とを 育みて)
- 令和5年11月(朝焼けの 沖からきたる 百合鴎)
- 令和5年10月(天平の 空からきたか 鬼やんま)
- 令和5年9月(学文の 坂本ですが 鳥渡る)
- 令和5年8月(いにしへの あの夏空を 忘れまじ )
- 令和5年7月(夏空に 塔屋の威風 六角堂 )
- 令和5年6月(北山の 花木喜ぶ 梅雨の空)
- 令和5年5月(一望の いちご畑や 鳴尾村)
- 令和5年4月(浜大根 咲いて鳥待つ 人を待つ)
- 令和5年3月(先人の 思いをつなぐ 桜かな)
- 令和5年2月(鳥も木も 頬を緩める 梅の花)
- 令和4年12月(落葉掃き 我がまち思う 宮っ子ら)
- 令和4年11月(時超えて 町を見守る 紅葉山)
- 令和4年10月(芸術の 秋を市民と 半世紀)
- 令和4年9月(学び舎に 子等の育てし 稲香る)
- 令和4年8月(ひたむきに 白球を追う 夏の空)
- 令和4年7月(海猫と 永遠の少年 帰還せり)
- 令和4年6月(思ひのせ 蘭学のみち 蛍舞ふ)
※西宮市政ニュース令和4年6月からおおむね月1回掲載
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