石井市長の"てくて句歳時記"
更新日:2024年7月10日
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てくて句歳時記
令和6年7月
「高砂や この浦舟に帆を上げて 月もろともに出汐の 波の淡路の島影や 遠く鳴尾の沖過ぎて はや住之江に着きにけり」という謡の一節が有名な、能を代表する「高砂」。人生を言祝ぐ大変めでたいこの能に、堂々と鳴尾が謡われていることから、鳴尾が重要な場所であったことが分かります。航海者の目印になっていたという鳴尾の一本松は、多くの和歌にも詠まれる名所でもあります。
その松の五代目が、今も里中町の一本松公園にあります。結婚式などで「高砂」が謡われるたびに、鳴尾の松の情景が浮かんでくるようです。この松が平安時代の歌人にも由緒ある松と思うと、ありがたみを感じるとともに、こうした歴史に私たちのまちが登場することを知ると、誇らしい気持ちにもなります。
さて、能には「高砂」だけでなく、「西宮」という演目もあります。これは室町時代の作品で、西宮神社(広義での廣田神社)を舞台とし、荒戎の神・龍神・末社の神などが登場する荘厳な舞の舞台です。こちらは平成2年に西宮在住の能楽師によって復曲・上演されたそうですが、市制100周年となる来年度にも、この演目の披露に向けて企画が進められています。実現することを期待したいですね。
≪写真≫ 五代目の一本松(里中町2丁目)
バックナンバー
- 令和6年6月(花卯木 かむさるように 百間樋)
- 令和6年5月(青蛙 はぐくみ継ぎて 学び舎に)
- 令和6年4月(晴れ渡る 廣田の山に つつじ咲く)
- 令和6年3月(若鮎や 生瀬トンネル 開通す)
- 令和6年2月(雪解風 きづなつむぎて 復興へ)
- 令和5年12月(北おろし まちと人とを 育みて)
- 令和5年11月(朝焼けの 沖からきたる 百合鴎)
- 令和5年10月(天平の 空からきたか 鬼やんま)
- 令和5年9月(学文の 坂本ですが 鳥渡る)
- 令和5年8月(いにしへの あの夏空を 忘れまじ )
- 令和5年7月(夏空に 塔屋の威風 六角堂 )
- 令和5年6月(北山の 花木喜ぶ 梅雨の空)
- 令和5年5月(一望の いちご畑や 鳴尾村)
- 令和5年4月(浜大根 咲いて鳥待つ 人を待つ)
- 令和5年3月(先人の 思いをつなぐ 桜かな)
- 令和5年2月(鳥も木も 頬を緩める 梅の花)
- 令和4年12月(落葉掃き 我がまち思う 宮っ子ら)
- 令和4年11月(時超えて 町を見守る 紅葉山)
- 令和4年10月(芸術の 秋を市民と 半世紀)
- 令和4年9月(学び舎に 子等の育てし 稲香る)
- 令和4年8月(ひたむきに 白球を追う 夏の空)
- 令和4年7月(海猫と 永遠の少年 帰還せり)
- 令和4年6月(思ひのせ 蘭学のみち 蛍舞ふ)
※西宮市政ニュース令和4年6月からおおむね月1回掲載
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